書類選考で落ちて観客として見に行った前回、現役のスタッフとして出場した前々回とは違い、ほぼ引退した悠々自適な身で参加した今回の鳥人間コンテストは写真をかなり撮ったので時系列順にレポートしてみようかと思います。
借りたトラックにサークル作業場を引っ越す勢いで各種道具を積み込む俺達。
向こうで何が必要になっても大丈夫なように本当に何でも持って行きました。
機体の防護も万全、と言うかこれは機体をしまう箱が酷使に耐えかねて老朽化しているので雨漏り防止にカバー掛けてるだけですけど。
4年も外に放置しっぱなしにしてれば修理を繰り返したとしてもそりゃカビ生えたり雨漏りしたりしますよ。
雨よけのブルーシートが侘しいですね。
いろいろとトラブルがあり、完全に積み込みが終了したのは出発直前の7/16午前3時。
そこから各自車に分乗して琵琶湖へ出発です。
俺の乗った車は後部座席の人たちが途中で寝てしまったため、助手席の俺は運転手の眠気防止のために必死で一人起きていろいろと運転手に話を振っていました。
朝6時頃に琵琶湖に到着。
朝食をとっている間に他の車や機体&道具を載せたトラックが到着したので琵琶湖岸の決められた場所に皆で下ろします。
飛行順序順にプラットホームから並ぶため、飛行順が後から2番目のうちのサークルに割り振られた場所はプラットホームから1km位はなれた会場のはずれもいいところでした。
湖岸に並ぶ各チームのテントたち。 まだ朝早いので皆寝静まっています。
自分達の設営は終わったのでちょっと湖岸を散歩。
明日ここから飛び立つんだなぁ、と感慨にふけりながらプラットホームを眺めてみます。
少し離れたところから違った視点で。
結構大きいです。
湖岸道路に停まるどこかのチームのトラック。
会場となる松原遊泳場に沿って走るこの道路は、鳥コン期間中はそれぞれのチームのトラックがずらりと並び、歩いているのは色とりどりのチームTシャツを着た出場者or読売テレビのスタッフばかり、道端には一攫千金を狙ってそこらの民家の人たちがかき氷やら何やらの屋台を出すと言うまさに混沌としか言いようのない状態におちいります。
俺はまさに「非日常」なそんな雰囲気が凄く好きですけどね。
湖岸道路沿いで見つけたトイレマップ。
会場の細長さがよく判りますね。
今回の鳥コンは簡易トイレが今までより充実していた気がします。
設営が済んでしまうと、昼の滑空機部門競技開始までやることがないのでテントの中で寝たり話をしたりして時間をつぶします。
それにしてもプラットホーム遠過ぎ。隣のテントすら遠いです。
日も高くなったのでみんな活動開始。 そこかしこで機体の補修やチェックは行なわれる競技開始直前の浜辺の様子です。
昼まで時間をつぶした後は滑空機部門の見物。今思えばあんなに早く着かなくてもよかった気がします。
今年は非常に天候が良く、見ていてなかなか楽しかったです。
1位のみたかも+もばらアドベンチャーグループの飛行をトイレに行っていて見逃したのが残念でならないです。
軒並み200m台で頭打ちの中一人だけ300m代後半をたたき出すあそこはまさに神。
おそらく滑空機では日本一、下手したら世界有数のレベルですよ。
そして安全検査の時間がやってきたので機体を組み立て、係の人に見てもらいます。
前回出場したときは検査係の理不尽な要求にサークルリーダーがぶち切れたりなんてこともありましたが、今回大会事務局から派遣されてきた人は非常に感じの良い方で特にトラブルもなく検査終了。
人力飛行機についてよくわかってらっしゃる方でした。
とはいっても安全対策として直すべきところが皆無と言うわけではないので補修中のうちのサークルテント。
途中で雨が降ってきて外に出していた翼をテントの中に慌てて退避したりと大変でした。
補修が終了し、ミーティングをやった後は三々五々食事や銭湯へ。
彦根市街まで足を伸ばして食事をした後帰ってきたらプラットホームがライトアップされていました。
どうせ見る人は参加者だけなのに何の意味があるんでしょうね。
そして現役組が機体の番をするためテントの中で寝ているのを尻目に引退組(4年生+大学院生)は付き合いのある某社会人チームを通して借りた琵琶湖畔の某企業の保養所へ。
寝る前に社会人チームのおっさん達と一緒に飲んだんですがみんな心が少年のままの実に素敵な方々でした。
ついにやってきた人力プロペラ機部門競技開始の日。
滑空と違い競技開始が朝6時なので朝早くから機体の組み立てです。
浜辺を見渡せば俺達以外のチームも皆組み立てをしていて騒がしい限りです。
飛行神社のお守り。
組み立て終了後、機体を担いでプラットホームへ運びます。1kmは遠かったです。
フライト順が後から2番目なので運んでいる間他のチームの飛行機が次々と飛び立っていくのを眺めていましたが、台風直撃で惨憺たる結果だった去年が嘘のようないい天気で好フライト続出。
広島大の双発機がまともに定常飛行に入ったり(あそこで引き起こせばもっと飛距離が伸びただろうに残念)京大のけつペラが2km近く飛んだりと技術的挑戦をしているチームがネタでなくきちんと飛んでいたのは印象深かったです。
もちろん府立大、東工大、COOLTHRUSTと言った超強豪達は順当に実力どおりの飛行で軽く10km越え。
ああいうクラスになると見ていて落ちそうな気配が全くないんですよね。敵いませんよほんと。
そして1km越えたのに飛行禁止区域に侵入して失格になったWASA、テストフライトで折れた主翼を修復して出場したものの強度不足でまた折れてしまった東海大には合掌。
坂で辛くても頑張る。
俺は下で応援組だったので大変そうだなあと思いながら応援席から眺めていました。
前回出場したときは前の前の飛行順の日大がやたら飛んだので坂の途中で1時間待ったりしましたが今回はスムーズに上れました。
プラットホーム上で待機。
前と前の前のチームがかなり飛んだので追跡用のボートが居なくなってしまい、それらが帰ってくるまで結構待ちました。
ちなみにTVで放映される応援団の応援シーンはこういった待機中の時間を利用して撮影されます。
応援席の巨大スクリーンに写る我らが機体。
スクリーンの前に応援団用にスペースが開けてあり、そこでエールを送るわけです。
そんなこんなのうちにボートも戻ってきて、気がつけば主審が機体の前に立って赤旗。
少々横風が強すぎるのではないかと危惧しているうちに白旗→主審退避で発進の瞬間がやってきました。
加速!!
発進!!
ほとんど高度を失うことなく無事発進できて応援席は熱狂の嵐に。俺は飛び跳ねてました。
が、発進直後に右旋回を開始し一直線に応援席の方へ向かってくる我らが機体。
一瞬そのまま右旋回を続けてプラットホームを回りこんで墜落、飛行距離測定不能になるのではないかと言う悪夢が応援席の皆の胸中をよぎりました。
ドキドキしながら眺めていたら今度は突然の左旋回開始。
曲がります曲がります
おそらく傾きが最大の瞬間。
普通の人力飛行機ならここまで傾いたら後はスパイラルに入って墜落へまっさかさまであり、見ている誰もがそれを想像したでしょう。俺ももうだめだと思いました。
しかしパイロットの冷静な判断で定常飛行に復帰。
後から訊いたところ「やばいと思って体重移動&逆ラダー&回転数アップしてた」との事ですがあの状況でそこまで的確な操縦をこなせる彼は本当に凄いと思いました。尊敬します。
相次ぐ旋回でエネルギーをだいぶ失って高度は落ちたものの定常飛行で南西へ。
発進からここまでだいたい20秒。ここらで応援団もやっと一息つけました。
傍目には安定して飛んでいるように見えましたが、実はこのとき重大な問題が。 発進直後の相次ぐ旋回で力をこめて操作しすぎたせいか操縦かんが台座から取れていたそうです。
うちのサークルの操縦かんは格好よく言うとサイドスティック方式(実態はPS2のコントローラーからスティックのみ流用)なので台座から取れても操舵不能にはなりませんがそれでも操作しづらいことには変わりなし。
そのせいかどうかは不明ですが南西に向かっていたのが90度近く進路を変えて今度は北西へと飛びます。
かなり高度が落ちてきました。 海面からタイヤまでの距離は30cmくらいでしょうかね。
いったんタイヤが海面についたあと水平尾翼を切って急上昇。
今回はタイヤが水に着く→上昇と言うのを2回繰り返したので応援団はそのたびに熱狂してました。
そしてそれを撮影しながら煽る読売テレビのカメラマン。
ついに力尽きて着水。 衝撃でプロペラが根元から曲がってます。
記録は286.72m
トップの日大が22km飛んでいることを考えると弱小もいいとこですが、人力飛行機の機動性の限界を突破したあの旋回っぷりは見ていて凄く楽しかったです。
あんな変な形(主翼2枚)した機体がまともに飛ぶと言うことを示せただけでも万々歳だと思います。
たとえ距離を飛ばすことが出来なくても、客として他のチームの飛行を指をくわえて見ているより自分も参加者の一人として参加したほうが百倍楽しいですよ。
次のチームがプラットホーム上で待機している中ボートに曳航されて戻ってきた我らが機体。
なんだか哀愁漂う画ですね。
静かに着水したお陰かコクピットフェアリング以外はほとんどが原型を留めていました。
引き揚げられてきた機体を回収した後は湖畔のサークルテントへ。 ミーティングをして引退組から現役組にプレゼントをしたりビールかけをしたりして遊んでました。
琵琶湖に飛び込んで遊ぶ各チームの方々。
色とりどりのチームTシャツがまぶしいです。
ちなみにこのとき優勝者の日大はフライト順が最後だったためまだ飛んでました。
みんなもうちょっと気にしようよ(笑)
既にほとんど製作に関わっていない身で参加した今回の鳥人間コンテストでしたが、それでもかなり楽しかったです。
やっぱり参加者として行く方がただの観客よりはるかにいいものですね。
人力飛行機&滑空機で埋め尽くされる琵琶湖畔のあの独特の雰囲気は一度味わうとやみつきになってしまいますよ。
そして実際に製作した後輩達へ。
よくやった!!感動した!!